朝立ちの仕組みと健康状態の関係、年齢による変化と対策
- 更新日:2025.04.21
- 投稿日:2025.04.21

10代、20代の頃は当たり前だった朝立ちの回数が、最近減ってきたと感じていませんか?朝立ちは年齢による自然な変化であると同時に、あなたの健康状態を映し出す鏡です。男性ホルモンの分泌や血管の健康状態と関連があると考えられています。
加齢とともに変化するのは当然ですが、生活習慣の乱れやストレス、場合によっては病気が隠れているサインの可能性もあります。この記事では、朝立ちのメカニズム、年齢による変化、健康状態との関連性、自宅でできる改善策を解説します。ご自身の健康状態をチェックするためにも、ぜひ読み進めてみてください。
MSクリニック横浜では、朝立ちの変化に不安を感じる方に対して、加齢や生活習慣、健康状態などを総合的に考慮し、原因を丁寧に見極めた上で最適な対策をご提案しています。朝立ちの減少は、体からの大切なサインかもしれません。気になる変化があれば、早めに専門医に相談し、健康的な毎日を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。
朝立ちのメカニズムと役割
朝立ちのメカニズムと役割について解説します。
- 朝立ちは睡眠中に自然に起こる勃起
- 朝立ちする理由・役割
朝立ちは睡眠中に自然に起こる勃起
朝立ちは医学的には「夜間陰茎勃起現象」と呼ばれ、睡眠中に自然に起こる勃起のことです。
健康な成人男性では、3〜5回の勃起があり、1回あたり20〜30分続くのが一般的です。この生理現象は思春期から始まり、高齢になるまで続きますが、年齢とともに頻度や硬さが変化していくことが知られています。
男性特有ではなく、女性にも類似の生理的反応(夜間陰核勃起現象:Nocturnal Clitoral Tumescence)があることが報告されています。自律神経系の働きによって制御され、性別を問わず健康な生殖器系の機能を維持するための重要なメカニズムと考えられています。
朝立ちする理由・役割
朝立ちは、レム睡眠と呼ばれる浅い眠りのタイミングで起こる自然な生理現象です。レム睡眠中は脳が活発に働き、心拍や呼吸、体温などに変化が生じることで、陰茎への血流が一時的に増加し、勃起が起こります。性的興奮とは無関係な現象のため、恥ずかしがる必要はありません。
朝立ちの役割として有力なのは、陰茎の健康維持です。長時間の睡眠中に低下する血流を一時的に回復させ、組織に酸素を供給することで、陰茎の機能低下を防いでいると考えられています。男性ホルモン(テストステロン)の分泌が正常であるサインでもあり、健康状態を知るうえでの一つの指標となります。
朝立ちはストレス処理が行われるレム睡眠中に起こることから、心身のリフレッシュに関与しているともされており、肉体的・精神的な健康維持にも関係している可能性があります。ある研究では、朝立ちが陰茎組織の酸素化を促進し、組織の健康維持に役立っている可能性も示唆されています。
朝立ちの変化と健康への影響
朝立ちの変化と健康への影響は以下のとおりです。
- 年齢による変化
- 朝立ちの頻度と健康状態
- 生活習慣と朝立ちの関係
- 朝立ちとEDの関係
年齢による変化
朝立ちの頻度や硬さは、年齢とともに変化します。10代や20代の頃は、毎日のように力強い朝立ちを経験する方が多いです。30代後半頃から男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が徐々に減少し始め、朝立ちの頻度や硬さも低下していきます。
50代以降になると、週に1~2回、あるいはそれ以下になる方も珍しくありません。自然な老化現象の一つであり、多くの男性に起こり得ることです。加齢以外にも、動脈硬化や高血圧といった血管の老化も朝立ちに影響を及ぼします。血管が硬くなると、陰茎への血流がスムーズに行き渡らなくなり、勃起しにくくなるのです。
以下の記事では、年齢による朝立ちの変化や、それが健康状態を映すサインとしてどのように役立つのかを詳しく解説しています。日々の体調管理の参考にしてみてください。
>>年齢による朝立ちの変化と特徴!健康状態を示すサインと対策法
朝立ちの頻度と健康状態
朝立ちは、男性の健康状態を反映する指標の一つと考えられています。朝立ちが頻繁に起こり、硬さも十分であれば、血管や神経、ホルモンバランスが比較的良好である可能性があります。
朝立ちの頻度が減ったり、硬さが弱くなったりした場合は、健康状態に何らかの変化が生じているサインです。動脈硬化や高血圧などの心血管疾患、糖尿病、男性更年期障害、ストレス、疲労、睡眠不足などが考えられます。
うつ病も性機能に影響を与えることがあり、男性では勃起障害が報告されています。ある研究では、うつ病の男性患者の63.26%に何らかの性機能障害が認められたという結果が出ています。うつ病が精神的な負担だけでなく、身体的な機能にも影響を及ぼすことを示唆しています。
陰茎への血流を阻害したり、神経伝達を妨げたり、ホルモンバランスが乱れることで、朝立ちに影響を及ぼすと考えられています。
生活習慣と朝立ちの関係
朝立ちは、生活習慣とも密接に関係しています。健康的な生活習慣は、朝立ちの維持・改善に役立ちます。規則正しい生活やバランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることが重要です。特に、睡眠は朝立ちに大きな影響を与えます。
朝立ちはレム睡眠中に起こるため、睡眠不足や睡眠の質の低下は、朝立ちの頻度や硬さを低下させる可能性があります。ストレスも朝立ちの大敵です。ストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させ、血流を悪くします。リラックス時間を作る、趣味を楽しむ、適度に運動するなど、上手なストレス管理が大切です。
朝立ちとED(勃起不全)の関係
朝立ちの減少は、EDの初期症状である可能性があります。EDとは、性行為に十分な勃起が得られない、あるいは維持できない状態のことです。加齢とともにEDのリスクは高まりますが、若い方でも生活習慣の乱れやストレスなどが原因でEDを発症することがあります。
朝立ちが全くない、あるいは以前と比べて明らかに頻度や硬さが低下している場合は、EDの兆候の可能性があります。メタボリックシンドロームもEDのリスクを高めることが知られています。
以下の記事では、朝立ちが起こらない原因とその対処法について、ホルモンバランスや生活習慣の観点から詳しく解説しています。ご自身の健康状態を振り返るヒントにしてください。
>>朝立ちしない原因と対処法!ホルモンバランスと生活習慣の影響
自宅でできる朝立ちの改善方法
朝立ちは男性の健康のバロメーターです。自宅でできる朝立ちの改善方法として、以下の3つを解説します。
- ストレス軽減
- 睡眠の質向上
- 食生活の改善
ストレス軽減
ストレスは、心身にさまざまな悪影響を及ぼし、朝立ちにも悪影響を与える可能性があります。ストレスを感じると、交感神経が優位になり、血管が収縮し、血流が悪くなります。陰茎への血流不足を招き、朝立ちしにくくなる原因の一つと考えられます。
現代社会でストレスを完全に無くすことは難しいですが、ストレスを軽減するための工夫は可能です。ストレス軽減のためには、趣味を楽しむ、リラックスする時間を作る、適度な運動を行う、十分な睡眠を確保することが効果的です。自分の「好きなこと」に没頭することで、日々のストレスを発散し、気分をリフレッシュできます。自分の趣味を大切にし、余暇を楽しむ時間を持つことが心の健康につながります。
ゆっくりお風呂に入ったり、好きな音楽を聴いたり、瞑想をすることで、心身をリラックスさせることができます。副交感神経を優位にし、緊張を解きほぐすのに役立ちます。
適度な運動も心身のリフレッシュには欠かせません。運動には、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑える効果があり、定期的に体を動かすことで、心も体もリフレッシュされます。ストレスをうまく管理することで、心身ともにリラックスした状態を保ち、朝立ちの改善にも良い影響を与えることができます。
睡眠の質向上
質の高い睡眠は、心身の健康にとって重要です。睡眠不足や睡眠の質の低下は、朝立ちの減少にもつながる可能性があります。朝立ちはレム睡眠中に起こりやすいため、質の高い睡眠、特にレム睡眠を十分に確保することは、朝立ちの改善に不可欠です。
睡眠の質を向上させるための方法として、以下の4つを解説します。
- 規則正しい睡眠スケジュールにする
- 睡眠前のカフェインを控える
- 寝る前のリラックスタイムを確保する
毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計が整い、自然な眠りに入りやすくなります。規則正しい生活を送ることが、良い睡眠をサポートします。カフェインは覚醒作用があるため、睡眠の質を妨げる可能性があります。寝る前の4時間ほどはカフェインを摂らないように心がけることが大切です。
寝る前に、ぬるめのお風呂に入る、読書をする、アロマを焚くなど心身をリラックスさせる環境を作り、スムーズな入眠を促しましょう。静かな暗い部屋で眠ることによって、深い眠りが得やすくなります。室温は20〜25度程度が最適と言われており、快適な温度で眠ることが重要です。
食生活の改善
バランスの良い食生活は、健康な体を維持するために不可欠です。食生活の乱れは、さまざまな健康問題を引き起こすだけでなく、朝立ちにも悪影響を与える可能性があります。食生活を改善するための方法として、以下の3つを解説します。
- 野菜や果物を摂取する
- 過剰な脂肪分を控える
- 水分補給をこまめに行う
主食や主菜、副菜をバランス良く摂取することで、必要な栄養素を効率的に取り入れることができます。毎日の食事で栄養の偏りを避け、体に必要な成分をしっかり補いましょう。
野菜や果物は、ビタミンやミネラルを豊富に含み、健康を支える重要な食品です。ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用があり、血管の老化を防ぐ効果が期待できます。血流を改善するため、全体的な健康維持に役立ちます。
脂肪分の多い食事はメタボリックシンドロームを引き起こす原因となり、勃起不全のリスクを高めることが研究で示唆されています。動脈硬化のリスクを高めるため、朝立ちの減少にもつながる可能性があります。
水分不足は体の機能を低下させ、健康に悪影響を与えることがあります。1日1.5~2リットル程度の水分をこまめに摂取するよう心がけ、体内の水分バランスを保ちましょう。
専門医での検査と治療
朝立ちの変化が他の症状を伴っていたり、精神的な負担になっている場合は、一人で悩まずに専門医に相談することが大切です。専門医での検査と治療について、以下の3つを解説します。
- 専門クリニックで行う検査
- テストステロン補充療法
- ED治療薬
専門クリニックで行う検査
「朝立ちが減った」と一口に言っても、背景にはさまざまな原因が潜んでいる可能性があります。男性専門クリニックでは、原因を特定するために、いくつかの検査を通して状態を詳しく調べます。生活習慣やストレスについて、以下の問診を行います。
- 睡眠時間や質
- 仕事でのストレス
- 食生活の偏り
- 運動習慣
- 既往歴
- 他症状
問診の情報から、生活習慣の改善で対応できるものなのか、男性更年期障害などの病気が隠れているのかなど、おおまかな原因を推測できます。血液検査では、男性ホルモン(テストステロン)の量や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の有無を確認します。男性ホルモンの値が低い場合は、男性更年期障害の可能性が考えられます。
陰茎の血流を調べる検査(陰茎ドップラー検査)を行うこともあります。超音波を使って陰茎の血管の状態を調べることで、血管の老化や動脈硬化などが原因でEDになっているかどうかを判断することができます。
必要に応じて、勃起機能を直接的に評価するための検査(夜間陰茎勃起検査)を行うこともあります。睡眠中の陰茎の勃起状態を測定することで、神経や血管に問題がないかを調べます。検査結果を総合的に判断し、あなたの状態に最適な治療方針を決定していきます。
テストステロン補充療法
テストステロン補充療法は、主に男性更年期障害の治療として用いられる治療法です。不足している男性ホルモンを注射、内服薬、貼付薬などで外から補充することで、症状を改善します。治療法は患者さんのライフスタイルや症状に合わせて最適なものを選択します。朝立ちの状態が改善する可能性があり、活力の向上や生活の質の改善が期待される場合もあります。
加齢や慢性疾患によって生じる身体機能の低下に対して、テストステロン補充療法は有効な治療法となり得ます。
ED治療薬
ED治療薬は、血管拡張作用によって陰茎への血流を促進し、勃起機能を改善する薬です。性的な刺激を受けて初めて効果を発揮します。国内では医師の処方にもとづいて適切なED治療薬が使用されています。服用方法や効果の持続時間などがそれぞれの薬で異なります。
ED治療薬は勃起機能の改善に役立つ場合がありますが、根本的な原因を解決するものではありません。生活習慣の改善も併せて行うことが推奨されています。持病によってはED治療薬の服用ができない場合もありますので、必ず医師に相談してください。
以下の記事では、ED治療薬をはじめとする治療法ごとの費用感や、手術治療の相場について詳しく解説しています。治療を検討する際の参考にしてください。
>>ED治療の費用は?治療薬や手術の価格相場を比較
まとめ
年齢を重ねるにつれて、朝立ちの頻度や硬さが変化するのは自然なことです。変化が気になる、あるいは他の症状を伴う場合は、一人で悩まず専門医に相談してみましょう。朝立ちは男性の健康のバロメーターです。生活習慣の改善、ストレス軽減、睡眠の質向上、食生活の見直しなど、できることから始めてみましょう。
規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動、そして質の高い睡眠を心がけることで、より健康的な毎日を送ることができます。ご紹介した方法を試しても改善が見られない場合は、専門クリニックを受診し、検査を受けてみましょう。
専門医による適切な診断と治療を受けることで、不安や悩みを解消し、より快適な生活を送ることができます。
特に、ストレスや不安、プレッシャーなどが背景にある場合には「心因性ED」の可能性も考えられます。以下の記事では、心因性EDの原因や症状、対処法について詳しく解説していますので、ご自身の状況と照らし合わせてご覧ください。
>>心因性EDの原因とは?主な症状や対処法、治療法を解説
参考文献
- D G Corona, W Vena, A Pizzocaro, G Rastrelli, C Sparano, A Sforza, L Vignozzi, M Maggi.Metabolic syndrome and erectile dysfunction: a systematic review and meta-analysis study.J Endocrinol Invest,2023,46,11,p.2195-2211
- Walter Santos Gonçalves, Bruno Rabinovici Gherman, Carmita Helena Najjar Abdo, Evandro Silva Freire Coutinho, Antonio Egidio Nardi, Jose Carlos Appolinario.Prevalence of sexual dysfunction in depressive and persistent depressive disorders: a systematic review and meta-analysis.Int J Impot Res,2023,35,4,p.340-349
- Shalender Bhasin, Venkatesh Krishnan, Thomas W Storer, Mitchell Steiner, Adrian S Dobs.Androgens and Selective Androgen Receptor Modulators to Treat Functional Limitations Associated With Aging and Chronic Disease.J Gerontol A Biol Sci Med Sci,2023,78,Suppl 1,p.25-31
ページ監修:総院長「葉山芳貴」紹介

総院長、医学博士 葉山芳貴
経歴
- 平成14年
- 聖マリアンナ医科大学 卒業
- 平成20年
- 大阪医科大学 大学院 卒業
- 平成22年
- 大手美容形成外科 院長 就任
- 平成27年
- メンズサポートクリニック開設
- 平成28年
- メンズサポートクリニック新宿 院長就任
- 平成28年
- 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)