包茎の癒着を放置するとどうなる?原因やリスク、対処法を解説
- 更新日:2025.03.13
- 投稿日:2025.03.01

包茎の癒着を放置するとどうなるか、ご存知ですか?癒着を放置すると、痛みやかゆみ、排尿困難などを引き起こす可能性があります。癒着の放置による症状は、あなたの生活の質を低下させるだけでなく、将来的な健康にも大きな影響を与える可能性があります。
この記事では、包茎癒着を放置した場合のリスクや症状、具体的な改善策を解説します。無意識のうちに問題を抱えている方も多いです。記事を読んで、ご自身の状態と照らし合わせてみてください。
当院では、仮性包茎をはじめ、真性包茎やカントン包茎などのお悩み相談も受け付けています。不安を感じている方は当院公式サイトをご確認ください。
包茎の癒着を放置した場合の症状
包茎の癒着を放置した場合は、以下の症状が起こる可能性があります。
- 痛みやかゆみ
- 排尿困難
- 性交時痛
包茎の癒着とは、包皮の内側と亀頭がくっついている状態のことです。生まれたばかりの赤ちゃんではほとんどの場合、包皮と亀頭は癒着しています。思春期を過ぎても亀頭と包皮の癒着が強く、包皮を全く剥くことができない状態は真性包茎と呼ばれます。真性包茎を放置するとさまざまな不都合が生じる場合があるため注意が必要です。当てはまる症状があれば、医療機関を受診し、早期治療を行いましょう。
痛みやかゆみ
包茎の癒着が強い場合、無理に包皮を剥こうとすると、亀頭に強い痛みや出血を伴うことがあります。特に勃起時や性行為の際には、亀頭が露出できないため包皮が強く引っ張られ、激しい痛みを感じることがあります。
包皮と亀頭の間の癒着していない部分は汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境です。清潔に保つのが難しいため、亀頭包皮炎のリスクが高まります。亀頭包皮炎は、亀頭が赤く腫れ上がり、強い痛みやかゆみを伴う炎症です。放置すると、さらに症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
思春期を迎える頃には、包皮を剥こうとする行為自体が痛みや不快感を伴うため、適切なケアが疎かになりがちです。結果として、亀頭包皮炎を繰り返す可能性も高まります。
排尿困難
包茎の癒着自体は直接排尿困難を引き起こすわけではありません。しかし、重度の包茎の場合、包皮が尿道口を圧迫し、尿の出口を狭くしてしまう場合があります。結果、排尿時に勢いが弱くなったり、尿線が細くなったり、残尿感を感じるなどの症状が現れる可能性があります。
亀頭包皮炎を発症すると、炎症によって排尿時に痛みを伴い、尿が出しにくくなることがあります。排尿困難の状態が続くと、日常生活に支障をきたすだけでなく、将来的には腎臓への負担も大きくなる可能性があるため注意が必要です。特に、高齢者では前立腺肥大症など他の原因による排尿困難も併発する可能性があります。
性交時痛
包茎の癒着があると、性行為の際に亀頭がうまく露出できず、包皮が裂けて痛みや出血を伴うことがあります。普段露出していない亀頭が刺激に敏感になっていることも痛みを感じる原因の一つです。亀頭包皮炎を発症している場合は、性行為によって炎症が悪化し、さらに強い痛みを伴う可能性があります。
性交時痛は、性生活の満足度を低下させる可能性があるため注意が必要です。性交時痛を感じた場合は、自己判断で対処せず、医療機関を受診することが大切です。
治療法としては、包皮を剥がしやすくする軟膏を使用する方法や、根本的な解決を図るための癒着剥離手術や包茎手術があります。症状や状態に合わせた適切な治療を受けることで、性交時痛が改善できる可能性があります。
包茎癒着のリスク3選
包茎癒着のリスクは大きく以下の3つです。
- 亀頭包皮炎
- 悪臭
- 精神的なストレス
包茎癒着のリスクを減らすには、早期発見・早期治療が欠かせません。気になる症状がある場合は、医療機関に相談してみましょう。
亀頭包皮炎
亀頭包皮炎は、包茎癒着によって引き起こされるリスクの一つです。包皮の内側と亀頭が癒着していると、亀頭を露出させて洗うことが困難なため、包皮と亀頭の間の癒着していない隙間に垢や皮脂などの分泌物が溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境になります。包皮の内側に溜まった分泌物は細菌の温床となり、炎症を引き起こします。
亀頭包皮炎の初期症状は、亀頭の赤みや腫れ、かゆみなどです。さらに悪化すると、膿のような分泌物が出て、強い悪臭を放つこともあります。排尿時に痛みを伴う場合もあります。亀頭包皮炎の症状は、日常生活に支障をきたすだけでなく、放置すると炎症が強まる可能性もあります。また、亀頭包皮炎は更なる癒着を引き起こす原因にもなり得るため、早期の治療が重要です。
悪臭
包茎癒着によって引き起こされる悪臭は、多くの男性にとって大きな悩みの種になります。悪臭の原因は、包皮の内側に溜まった分泌物や垢が腐敗することです。
悪臭の原因となる物質は、主に揮発性脂肪酸やアンモニアなどの化合物です。化合物は、細菌が分泌物を分解する過程で生成されます。包茎癒着によって包皮の内側が常に閉鎖された状態にあるため、分泌物が外部に排出されにくく、臭いがこもりやすくなります。
悪臭の問題は、適切な衛生管理によってある程度改善できます。根本的な解決のためには、包茎癒着を解消することが重要です。
精神的なストレス
包茎癒着は、見た目に関するコンプレックスや、性行為の際の不安など、精神的なストレスの原因になるケースがあります。パートナーとの関係に悪影響を与える可能性があり、注意が必要です。
思春期を迎えると、友人との会話や性に関する情報に触れる機会が増え、自分の身体に対する意識が高まります。思春期に包茎癒着があると、他の人と比べて劣等感を抱いたり、性行為に自信が持てなくなったりするなど、精神的な負担を感じやすくなります。
精神的なストレスは、日常生活にも支障をきたす場合があります。自分に自信が持てなくなったり、人付き合いを避けるようになったりするなど、生活の質を低下させる可能性もあるため注意が必要です。
包茎癒着は、医学的な問題だけでなく、精神的なストレスの原因にもなります。治療法としては、包皮を剥がしやすくする軟膏を使用する方法や、根本的な解決を図るための包茎手術があります。
症状や状態に合わせた適切な治療を受けることで、精神的なストレスの軽減が期待できます。気になる症状があれば、早めに医療機関に相談しましょう。
包茎を放置することで、精神的なストレスだけでなく、衛生面や機能面にもさまざまなリスクが生じる可能性があります。放置することでどのような影響があるのか、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>包茎の放置で起こるデメリットとは?衛生面・機能面・心理面でのリスクも解説
包茎癒着の改善法
包茎癒着の改善方法は以下のとおりです。
- 手術
- 薬物療法
- セルフケア
まずはご自身の状態を正しく理解し、適切な対応をすることが大切です。
手術
手術には癒着剥離手術と包茎手術があります。癒着剥離手術は、包皮と亀頭の癒着を改善する方法の一つです。癒着剥離手術だけで十分な場合と、包茎を併発していることによって、再癒着を起こす可能性が高い場合は包茎手術が必要となります。これらの手術方法にはいくつかの種類があり、それぞれ費用やメリット・デメリットが異なるため、ご自身の状況に合った手術を選択することが重要です。
包茎手術の代表的な手術方法として、環状切除術と背面切開術が挙げられます。
環状切除術は、包皮を環状に切除し、亀頭を露出させる方法です。施術時間は比較的短いですが、包皮を一周切除するため、手術跡が残る可能性があります。時間の経過とともに目立ちにくくなることが多いものの、個人差があります。
費用は保険適用外の場合、10万円〜40万円程度が相場です。保険適用の場合は1万円〜3万円程度で受けられる場合もあります。新生児期に行うことで、合併症リスクの低下、治癒の迅速化、低コスト化といった利点があるという研究結果もあります。
背面切開術は、包皮の狭い部分を縦に切開することで、亀頭を露出しやすくする方法です。重度の真性包茎やカントン包茎の治療に用いられ、必要に応じて追加の環状切除を行う場合もあります。包皮を完全に切除しないことが多いため、亀頭の保護機能をある程度維持できるという特徴があります。費用は環状切除術より低い傾向があり、10万円〜20万円程度が相場です。しかし、この手術では包皮の長さが変わらないため、再癒着の可能性が高い場合は対象となりません。
他にも、形成外科的な手法を用いた手術など、さまざまな方法があります。費用はクリニックや施術内容によって異なり、使用する機器や術式、術後のケアの内容によっても変動します。
手術を選択する際には、それぞれのメリット・デメリット、費用、術後の経過などを考慮し、医師と十分に相談することが重要です。不安な点があれば、手術前にしっかり確認し、納得したうえで治療に臨みましょう。
「手術」と聞くと、切ることを前提に考えがちですが、実は「切らない包茎手術」という選択肢もあります。痛みを抑えながら包茎の悩みを解消する方法について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
>>切らない包茎手術とは?痛みなしで悩みを解消する方法
薬物療法
包茎癒着自体は薬で直接治療することはできません。しかし、包茎癒着が原因で亀頭包皮炎を起こしている場合、抗生物質の軟膏や内服薬を用いて炎症を抑える治療を行います。ステロイド外用薬を用いることもあります。細菌感染が原因の場合は抗生物質、真菌感染の場合は抗真菌薬を使用します。
薬物療法は、炎症や感染症をコントロールするための対症療法であり、包茎癒着そのものを根本的に解決する方法ではありません。亀頭包皮炎を繰り返す場合は、原因である包茎癒着を解消するために手術を検討する必要があります。
セルフケア
包茎癒着を改善するためのセルフケアとして、毎日の入浴時に石鹸をよく泡立てて優しく包皮を洗うことが大切です。清潔を保つことで、亀頭包皮炎などの感染症を予防できます。
無理に包皮を剥こうとすると、痛みや出血を伴うだけでなく、亀頭を傷つけてしまう可能性があります。重度の癒着の場合は、無理に剥がそうとせず、医療機関を受診してください。
まとめ
包茎の癒着を放置すると以下の症状が起きる場合があります。
- 痛みやかゆみ
- 排尿困難
- 性交時痛
亀頭包皮炎や悪臭、精神的ストレスなど、さまざまな問題を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。清潔を心がけていても、包茎の状態によっては適切なケアが難しく、悪臭や炎症のリスクが高まります。
改善策としては、包茎手術や薬物療法、セルフケアなどがありますが、自己流のケアは症状を悪化させる可能性があります。包茎でお悩みの方は、まずは専門クリニックに相談し、ご自身の状態に合った適切な治療法を見つけることが大切です。一人で悩まず、気軽に相談してみましょう。
包茎手術にはどのようなメリットやデメリットがあるのか、事前にしっかり理解しておくことが大切です。安心して治療を受けるために、手術の種類や注意点について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>包茎手術のメリットとデメリットは?安心して治療を受けるための基礎知識を解説
参考文献
Folashade Omole, Walkitria Smith, Kitty Carter-Wicker. Newborn Circumcision Techniques. Am Fam Physician, 2020, 101(11), pp. 680-685.
ページ監修:総院長「葉山芳貴」紹介

総院長、医学博士 葉山芳貴
経歴
- 平成14年
- 聖マリアンナ医科大学 卒業
- 平成20年
- 大阪医科大学 大学院 卒業
- 平成22年
- 大手美容形成外科 院長 就任
- 平成27年
- メンズサポートクリニック開設
- 平成28年
- メンズサポートクリニック新宿 院長就任
- 平成28年
- 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)